業際問題と当事務所のスタンスについて

業際問題と当事務所のスタンスについて

ひょっとして一般にはそれほど認識されていないかもしれませんが、士業における業際問題というものがあります。

要は、各資格でどこまでの業務ができるかというものです。

よく問題となるのが

①社会保険労務士(社労士)と税理士とで、年末調整はどちらがするか

②社労士業務は有償独占であるから、報酬を取らなければ業務ができるか

ときに話題となるのが

③₋1.公認会計士であれば会社設立登記はできる 

③₋2.公認会計士であれば付随して社労士業務ができる

というものがあります。

①については税理士会と社労士会とで話し合いが行われており、年末調整は税理士業務であるという確認がされています。

ですので、社労士が年末調整を行うことは出来ない…はずなんですが、社労士の方のWebを見ていると年末調整の報酬を別途掲げられていたり、身の回りでも、12月になるとあそこの事務所は土曜日出勤になるとかいう話を聞くので、現実的には社労士が年末調整をしています。

一方、実際問題、年末調整業務はまだまだマンパワーが必要となる業務であることから、当事務所としては自ら積極的に資料を収集しての業務は行いません(物理的にムリ)。資料収集等を全てしていただき、システム入力をしていただいたうえでの受任となります。(少人数である場合は応相談)

②社労士業務(社会保険関係の届出及び書類作成)は有償独占、つまり報酬を得て業務を行う分には資格が必要であり、無償でやる分には資格不要、とされています。

社労士資格の持った者がいない会計事務所(税理士事務所)で、社会保険関係の届出(労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届といった年度での定例業務)を行っているところが、それなりにあるようです。

これを、報酬を取っていれば完全に違法行為となります。また、報酬を取っていなくとも、税理士顧問報酬の枠内でやっていることから、無償というのは難しいのではないか、かなりのグレーな部分なのではないか、というのが当事務所の考えです。

従いまして、当事務所は、事務所として社会保険の届出は行いません。

③₋1,③₋2 どちらも、公認会計士の資格をもって出来るとする見解・解釈があります。

が、当事務所としては

③₋1については、最後の登記の場面は司法書士の方に手伝ってもらいます。

③₋2については、上記の通り届出関係は行いません。

ただし、社会保険料はときに税金よりも金銭的負担は大きくなり、社会保険料を考慮することなく最適税務戦略をとることは困難ですので、社会保険料についても十分注意を払っての提案をいたします。